01 スクリーナーを開く

まずは信頼できるネットネット・スクリーナーを用意します。EveryNetNetは、各社のバランスシートからNCAVを計算し、清算価値を下回って取引されている可能性のある銘柄を一覧にします。

最初に確認したいのは、自分が投資したい市場をカバーしているかどうかです。日本株を見たいのに米国株しか載っていないスクリーナーでは意味がありません。画面の見方(並べ替え、絞り込み、各列の意味)にも最初に慣れておきましょう。

NCAVの定義や計算方法があいまいな場合は、先にネットネット株とは?を読んでおくと、リストの数字がそのまま理解できます。

02 母集団の大きさを把握する

スクリーニングを始める前に、対象がどれくらいあるのかを知っておくと判断が早くなります。EveryNetNetの集計では、2026年10月22日時点で59か国・2,042銘柄がNCAVを下回っていました。P/NCAV(時価総額÷NCAV)の中央値は0.68、グレアムの3分の2基準まで満たす銘柄は977銘柄、時価総額の中央値は$18.1M(米ドル)です。

このうち日本は136銘柄で、P/NCAVの中央値は0.84、3分の2以下の銘柄は19銘柄、時価総額の中央値は$38.3M(米ドル)でした。つまり世界全体でも「超小型株が中心」であり、国内外を問わず、流動性と情報の少なさを前提に銘柄を選ぶ必要があります。数値は2026年10月22日時点の集計で、個別の銘柄名は公開していません。日本市場の背景は日本のネットネット株:なぜ日本に多いのかで解説しています。

03 条件を絞り込む

ネットネット株のリストはそのままでは広すぎます。自分の投資方針に合わせて条件を足し、現実的に調べられる数まで減らします。

業種で絞る
自分が理解できる業種に絞ると、資産の質や事業の先行きを判断しやすくなります。
国で絞る
政治情勢や規制、開示の水準を踏まえて、投資する国と見送る国を決めます。
財務面の条件
時価総額のレンジ、負債比率、PERなどで、売買できない銘柄や財務が重い銘柄を外します。
定性的な条件
経営陣の質、ブランド、競争優位など、数字に表れない要素も最後は判断材料になります。

P/NCAVを1.0ではなく0.67以下にするのも有効な絞り込みです。これはグレアムが好んだ「NCAVの3分の2以下」の基準にあたります。

04 絞り込んだリストを眺める

絞り込んだリストを上から順に見て、自分の投資方針に合う銘柄を選び出します。ここで作るのは「調べる価値がある銘柄」のショートリストであって、買う銘柄のリストではありません。自分の理解できる範囲(サークル・オブ・コンピタンス)に収まっているかを基準にすると、後の調査が現実的な量に収まります。

05 1銘柄ずつ調べる

Proでは、スクリーナーの銘柄名を開くと、出典付きの事業概要、企業の基本情報、スクリーニング時点の数値をまとめて確認できます。

企業概要は「調査の出発点」

企業概要では、事業の説明と、現時点の基本情報・スクリーナーの数値を分けて表示しています。どの銘柄を深く調べるかを決めるための材料であり、推奨ではありませんし、開示資料そのものの代わりにもなりません。

重要:売掛金が回収できるか、棚卸資産に価値が残っているか、経営陣は信頼できるか、簿外の債務はないか——こうした定性的なリスクは、最終的に自分で一次情報を確認するしかありません。

日本株であれば、有価証券報告書は金融庁のEDINET、決算短信は東証のTDnetで公開されています。スクリーナーの数値は最新の報告書ベースですが、決算発表後に状況が変わっていることもあるため、気になる銘柄は原典にあたってください。

06 国ごとの要因を考える

上場している国によって、同じNCAVでもリスクとリターンは変わります。

  • 政情が不安定な国や、規制・開示が弱い市場は候補から外す。
  • 為替リスクと税制(配当課税や外国税額控除など)を理解しておく。
  • 自分が実際に売買でき、情報も追える市場を中心にする。

日本株の場合、売買単位は100株のため、最低購入金額は株価の100倍になります。超小型株が多いネットネット株では、1銘柄あたりの投資額と出来高の関係にも注意が必要です。

07 分散させる

ネットネット投資は、1銘柄を当てる手法ではなく、統計的な優位性を数で取りにいく手法です。1社が破綻しても全体が壊れないように分散します。

銘柄以上
15〜30
業種以上
3
地域以上
2

グレアム自身も、勝ち銘柄が負け銘柄を補えるように、最低30銘柄程度のネットネット株を保有することを勧めていました。

08 保有後に見ること、売る基準

買った後も、決算と市場環境を定期的に確認します。あらかじめ売却の基準を決めておくと、判断がぶれません。たとえば「株価が本質的価値に達したら売る」「財務が明確に悪化したら売る」といったルールです。ポートフォリオの偏りが大きくなったときは、リバランスも検討します。

NCAVは決算ごとに更新されるため、買った時点で割安でも、赤字が続けばNCAV自体が縮んでいきます。四半期ごとに流動資産と総負債を確認し、前提が崩れていないかを見るのが基本です。

まとめ

スクリーナーは、割安かもしれない銘柄を機械的に洗い出すための道具です。条件を絞り、1銘柄ずつ調べ、国ごとの要因を考え、分散して保有し、保有後も確認を続ける——この流れを淡々と繰り返すことで、他の投資家が見落としている銘柄にたどり着けます。

用語や計算式を確認したい場合はネットネット株とは?とNCAV(正味流動資産価値)とは?を、集計のルールはメソドロジー(英語)をご覧ください。本記事は情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。

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